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子どもの体幹を強くする『椅子』への坐り方

勉強中の姿勢がいつも同じように崩れる…

食事中の姿勢が悪い…

走るのが苦手…マット運動が苦手…

などと感じ、「うちの子は体幹が弱い…」と悩み、「体幹が弱い=体幹トレーニングが必要」と考えてしまっていませんか?

確かに、適切な姿勢を保つために必要なのは体幹機能であることに間違いはありませんが、単に『体幹を鍛える』だけで姿勢が良くなるものでもありません

では、鍛える以外に何をすれば良いいのでしょうか?

そもそもなぜ姿勢が崩れてしまうのか?

どうすれば少しでも長く良い姿勢を保ち続けられるようになるのか?

これらの疑問に対する理解を深めながら、改善へ向けた道すじを一緒に考えてみましょう。

まず体幹を弱くしてしまう姿勢の取り方の3つの癖をご紹介します。

体幹を弱くする『背もたれ、肘つき、足ぶらぶら』

①背もたれにもたれると、腸腰筋が働かない

背もたれにもたれることによって、上体を前方へ傾けようとする力が大きく抜けます。中でも特に力が抜けやすいのが『腸腰筋』。腸腰筋は体幹部分でも特に骨盤・股関節の動きをコントロールする働きがあり、姿勢保持、日常生活動作、スポーツのいずれにとっても非常に重要な筋肉です。

椅子に座っているときに腸腰筋は、骨盤を前方へ傾ける働きがありますが、背もたれにもたれるためには骨盤を後方へ傾ける必要があるため、腸腰筋の力を抜かないともたれることができません。腸腰筋が働かない状態で姿勢を良くしようとすると、骨盤から姿勢を調整するのではなく背骨で姿勢を調整してしまい、反り腰となり腰背部の痛み、疲労感につながります。

また、もたれた状態で食事、勉強など行うことで、猫背にもなってしまいます。

②肘をつくと、肩が上がってお腹に力が入らない

肘をつくと、机からの反力によって肩が突き上げられてしまいます。肘を引き下げる力を常に入れ続けることによって、肩を下げたまま首が長い状態を保てれば良いのですが、往々にしてその力は抜け時間の経過とともに肩が上がりがちです。

肩が上がると肩甲骨を引き下げる『前鋸筋』の力が抜け、同時に肋骨を引き下げる『腹斜筋』を中心とした腹筋の力も抜けやすく、腰が丸くなりがちです。

肘ではなく、前腕(肘より先の部分)をつくと、腕の力で机からの反力に対抗して支えやすく姿勢を保つ補助としては有効です。(実際にやってみるとよくわかりますよ。)

この点については、肘掛けを使用する際においても同様です。

さらに『頬杖(ほおづえ)』をつくと、肘つきに加えて頭の位置まで悪くなるので、ほおづえが癖づくと猫背をさらに助長します。

③足が宙ぶらりんになっている

足が地面から離れて浮いていると、座面よりも前方での支えがなくなるため、骨盤を楽に前に傾けることが難しくなります。そのままだと背もたれにもたれる場合と同様に猫背になりやすく、なんとか前方へ傾けようとすると反り腰となってしまいやすいのです。

この3つを絶対にしてはいけないというわけではありません。坐るといつもこのような姿勢になってしまうようでは、体幹部分の筋力を弱める原因にもなるので、幼少期から癖づけないようにしておくと良いでしょう。

まず必要なのは筋力より『感覚力』。

さて、上記のような癖があると、前述のように姿勢が非常に崩れやすくなります。もちろん体幹の弱さも関係していますが、このような姿勢の癖を持つ中での体幹の弱さは二次的なものと考えた方が良いでしょう。つまり、「体幹が弱いから姿勢が崩れるのではなく、姿勢が崩れやすいから体幹が弱まっている」と考えるということです。

※脳の疾患等により体幹部分に力が入りにくくなる場合がありますが、そのようなケースは除いて考えます。

そもそも、幼少期の体幹機能は様々な運動遊びや親子での関わり(だっこ、おんぶなど)のなかで身についていきます。小学生までの間に、身体を存分に使って遊ぶ機会をつくってあげましょう。この頃の身体機能が大人になってからの身体にも大きく影響します。

遊びなどの中で、子どもたちが何を身につけているのか。それは『自分自身の身体の扱い方』です。失敗と成功を繰り返しながら「できなかったことができるようになる」経験の蓄積を通して「こんな感覚、こんなイメージで動けばこんな動きができる」と感覚的に身体を動かすことを習得していきます。成長とともにできるようになりたい動きの難易度も自然と高まり、それに合わせて筋力も向上していくのです。

姿勢に関しても基本的な考え方は同様です。

姿勢を良くするために体幹トレーニングをして体幹を鍛えたとしても、そもそも適切な姿勢の取り方が身についていなければ良い姿勢を保つことはできるようになりません。良い姿勢とはどのようなものなのかを『身体感覚』を通して身につけていく必要があります。そしてそのような姿勢を保つ時間が集中力の高まりと同時に少しずつ長くなっていくことで、良い姿勢を保つために必要な持久力も培われていくのです。

良い姿勢を保つために必要な2つの『感覚力』とは?

良い姿勢を保つために絶対に必要なのが『坐骨感覚』『軸感覚』です。

坐骨感覚

椅子や地面に適切に坐れたときの「坐骨への荷重感覚」です。坐骨にうまく体重が載せられているとそれだけで良い姿勢の土台が整います。逆に坐骨感覚がないと、姿勢は容易に崩れます。

軸感覚

ここでいう軸感覚とは、「背骨が適切に配列された状態の身体感覚」のことです。背骨が適切に配列されると、全身に力感[力を入れている感覚]がないにも関わらず自然と背筋が伸びます。ちょうど頭が座りかけた頃くらいの子の頭がちょうど良い位置に収まったときのようなイメージです。

この坐骨感覚と軸感覚を養うために有効なのが、THE コツ™️ チェアシリーズであり、ガンシナーです。感覚を通して姿勢を調整する方法を身につけることによって、姿勢の良し悪しが自然と認識できるようになるだけでなく、姿勢を修正しようとするときにも力任せに背筋を伸ばすのではなく、身につけた感覚を頼りに楽に良い姿勢をとることができるようになるのです。

THE コツ™️ チェアシリーズ
ガンシナー

長時間の坐位で姿勢が崩れるのは必然。

大人ですら皆、長時間のデスクワークで当たり前のように姿勢が崩れるのに、体がまだ出来上がっていない未熟な子どもに常に良い姿勢を強いるのは無理な話です。

座り続けている中で姿勢を変えたり、崩したりすることは決して悪いことではありません。崩れた状態からどのように良い状態に戻せばいいのかがわからず、結果的に崩れた姿勢のままで居続けてしまうことの方が問題です。

長時間椅子に縛り付けようとせず、子どもが「立ちたい」と感じたら立たせてあげましょう。そうすることによって、坐位姿勢で負担の掛かっている筋肉をリラックスさせることにもつながり、改めて集中しやすい状態となりうるのです。

姿勢の崩れを指摘したくなったときには…

姿勢の崩れが長時間続いてしまうような場合には、そのことを気づかせてあげる声かけも有効です。

※背中が丸く潰れている場合

「お尻の骨、感じてる?」

「頭のてっぺん低くなってるよ。高く保とうね。」

→ 座っているときの姿勢を正すには、坐骨を感じるように骨盤を立て、頭頂を高く保つようにするだけで十分です。背中にはあまり意識を持たせないように気をつけましょう。

※背筋を伸ばして反りすぎている場合

「背中がんばりすぎてないかな?もっと力を抜こうね。」

→ 背中に力が入りすぎていると、疲労しやすく良い姿勢を長く保つことができません。背中の力を抜きながら、良い姿勢を保つ方法を身につけさせてあげましょう。

※なぜ良い姿勢である必要があるのかが理解できない場合

「その座り方かっこ悪いよ。こんなことになってるよ。」

(と言って姿勢を真似して見せる、写真を撮って見せる。)

「この姿勢とどっちがかっこいいと思う?」

(良い姿勢も合わせて見せてながら問う。)

→ 子ども自身の姿勢を第三者からの見た目のイメージとして、印象付けることも自らを俯瞰的に捉える上で有効です。

「その姿勢だと、走るの遅くなるよ。」(スポーツ下手になるよ。ピアノ上手くなれないよ。)

→ 事実、姿勢を保つときの体幹機能はスポーツ、芸事にも大きく影響します。

良い姿勢をがんばらせてはいけない。

坐ったときの姿勢を坐骨感覚からうまく作り上げられると、本質的に良い姿勢は「楽」なもののはずです。

良い姿勢がしんどい感じるような方法で姿勢を修正しすぎないように気をつけましょう。特に「背筋を伸ばしなさい」、「胸を張りなさい」、「気をつけ」など背中に力を入れるような意識の持たせ方はお勧めしません。

先ほどもお伝えしたように、良い坐位姿勢に必要なのは『坐骨感覚』『軸感覚』。この2つを自然と身につけさせてあげることが肝要です。

姿勢良く保つことが、当たり前のことのようになるために。

子どもの場合、頭で理論的に理解するよりも先に感覚的に理解できるように誘導してあげることのほうが有効です。

大人が言って聞かせて初めて良い姿勢を取るようになるのではなく、子ども自身が良い姿勢の状態が好きだ、快適だと自然に思えるような環境設定が非常に重要となります。つまり前記の「坐骨感覚」「軸感覚」が自然と身につき、その感覚が得られている状態が快適だと感じられる状況、そして地面、もしくは足台に足を置き、背もたれにもたれずに座り続ける癖をつけられる椅子。

このような環境、そして感覚をただ座り続けるだけで得られるのがTHE コツ™️ チェアシリーズです。

早期からこのような椅子をお子様に選択していただくことで、良い姿勢の保ち方を子どもの自然な能力を駆使して身につけることができるようになることを目的としています

危険認識ができるようになれば、なるべく早期からのご使用がお勧めですよ。

THE コツ™️ TOOLs
堤 和也